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年を重ねる

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

園庭にチラホラと黄色の葉っぱが舞い降りてくる。毎年のことながら、この季節を待っている子どもたちがいる。

人それぞれに季節の好みはある。中でも、秋を好む人もかなりいると聞く。「たそがれ時」のイメージを抱かせる秋ではあるが・・。

子どもたちは元気である。黄色い銀杏の絨毯の上を転がり舞っている。曇った空などそっちのけ。はちきれんばかりのまんまる笑顔。

今は年を重ねた自分。年を取ると、子どもたちから元気をいただく、とよくいう。ということは、「年を重ねる」とは元気がなくなるということなのか。確かに肉体的な元気さは子どもたちにはかなわない。しかし、この年まで生きてきた「元気さ」はその人にしかわからない。そして、その人の貴重な財産であることも確かである。

要は、この年まで培ってきた「生きる」というその人の財産を、「わたし」の財産としてだけではなく、若い世代にいかに見せ、語り継いで「わたしたち」の財産としていくか、年を取った人の、さらなる「元気さ」ではないかと思う。

子どもの元気は、今から始まる人生という旅路のスタートダッシュのために必要な「元気」なのだ。エネルギーである。そして、楽しい一歩一歩を踏みしめていく。周りの「年を重ねた」人の歩みを確かめつつ・・。

こうして、若い彼らも心身の新陳代謝を繰り返しながら、新たな「年輪」を記していく。

園児から児童へ、生徒へと・・。彼らもまた、年を重ねていく。先人たちが築いた財産を土台にして。

ここに神の計画を感じる。本来の人のいのちの温かい繋がりを。この気づきを糧にさらに「年を重ねて」みたい。