自分も貧しかった子どもの頃にボランティアに救われた経験から、恩返しをしたいと考えたからです。
アフリカ諸国を巡った彼女は、飢えや病でやせ細った子どもたちを優しい笑顔で抱擁したものです。
当然ながら、その頃の彼女の顔には『ローマの休日』の頃の若々しさはなく、深いシワが刻まれていました。しかし、その表情には不思議な魅力がありました。そのわけを彼女はこう語っていたそうです。
「確かに私の顔にはシワが増えました。でも私はこのシワの数だけ愛を知りました。だから若い頃の自分より、今の自分の顔のほうがずっと好きです」
高齢になった聖マザー・テレサの顔もシワだらけでした。そのシワだらけの微笑みを見て、心慰められ、元気づけられた人は、世界中にどれだけ多くいることでしょう。
また、晩年の聖ヨハネ・パウロ二世はパーキンソン病と闘いながら、公務を遂行されていました。その痛々しい姿を見て、十字架のキリストを連想した人も多いでしょう。
誰でも年を重ねると、体は老いていきます。病に苦しむこともあるでしょう。
けれども、歳月と共に愛は心と体に刻まれ、その人自身をより気高く魅力的にするのだと思います。