子育ての実り

遠山 満 神父

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親は、子供がどのように成長していけば安堵するのでしょうか。価値観の多様化している現代において、これを一言で表現することは困難なことですが、共通して言えることは以下のようなことではないでしょうか。

子供が親元を離れ自立して、より良き人生を送ること。それにはまず、模範となる人が子供の身近にいてくれるという事。また子供の支援者がいてくれる事。更に子供が、人生における良き同伴者を見出してくれること。加えて、子供が自らの愛を注ぐ対象、親から見て孫のような存在がいてくれること。子供が、模範となる人、同伴者、支援者、被支援者に囲まれて生活しているのを見る時、親は安堵し喜びに満たされるのではないでしょうか。ただ、家族の形態、個人の生活形態が多岐に亘っている現代においては、そのような環境の下で生活する人は、稀有な人と見なされます。

それでは、このような人生は、絵に描いた餅に過ぎないのでしょうか。そうではないと思います。

キリストを見出す人は、全てを見出すことができるからです。キリストは、神に似せて創られた私達人間にとって最高の模範であり、「世の終わりまであなた方と共にいる」(マタイ:28・20)と約束された、私達の人生の同伴者であり、「疲れた者、重荷を負う者は誰でも私のもとに来なさい。休ませてあげよう」(同:11・28)と仰った、私達の支援者です。更に、「私の兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、私にしてくれたことなのである」(同:24・20)と仰る方でもあります。

実にキリストこそが、「自らの苦しみの実りを見、それを知って満足」(イザヤ:53・11)しておられる方、「子孫が末永く続くのを見る」(同:53・10)方です。

キリストに従うことによって、私達もその喜びを頂きましょう。

子育ての実り

新井 紀子

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私たち夫婦は、3人の子供に恵まれました。子育てについて夫婦で考えました。子供の好きなこと、やりたいことを尊重し2人で応援しよう...。

長男の弦の話をします。弦は小さい頃から動物が大好きでした。遊びに行っては、いろんな小動物を捕まえてきました。食用ガエルを捕まえてきたり、ザリガニを釣ってきたりしました。その度に私は、我が家に備えている家庭動物飼育辞典を見て育て方を弦に教え、一緒に育てたものです。

巨大な石亀を見つけてきた時には、池が必要だということが分かりました。夫と弦は2人で庭の片隅に大きな穴を掘り、池を作りました。石亀はその池に何年も住み冬眠もしたのです。

弦は高校生になりました。ある日、雀の雛を抱えてかえってきました。「空から雀の雛が落ちてきたんだよ」。餌にするワムシを我が家の冷蔵庫に入れていたのには、動物好きな私でも参りました。

高校の父兄会へ行った時です。鶏小屋に入って鶏糞を掃除している一人の生徒がいました。

〈まあ。奇特な生徒がいるものね〉私はそう思いながらよく見ると、なんと息子の弦ではありませんか。

鶏が野犬に襲われ、弦は鶏を獣医のところへ連れて行きました。すると獣医は、親切に診てくれたばかりでなく、学校で飼っている鶏だからとお金を取りませんでした。

そんな獣医に出会った弦は、将来動物のお医者さんになりたいと強く考えるようになりました。

願いがかなって、10年ほど前に、横浜で動物病院を開業することができました。毎日たくさんの動物たちがやってきます。弦はどんなに忙しくても楽しそうです。動物を助けてあげることが好きなのです。私たち夫婦は語り合います。

「弦の夢がかなって、本当によかったね」


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