聖母マリア

末盛 千枝子

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子どもの時に教会学校でマリア様について習ったときのことが忘れられません。「マリア様はイエズス様のお母様だから、マリア様の言うことはイエズス様は何でも聞いて下さるのだから、どんなことでもお願い事があったらマリア様にお願いしなさい」と言われたのです。でも、それは私には何か物足りなく、大切なことが話されていないという思いが子供心にありました。

ずっとたって、自分がいろいろなことに悩み、信仰についてあれこれ思うようになってきて、あらためてマリア様についての思いがハッキリしてきたように思います。それは、新約聖書の中で、マリア様は自分にはわからない難しい場面で、何度も何度も胸騒ぎがしたり、不安に思ったり、一体これはなんのことだろうと考えたり、思いを巡らしておられます。そしてその度に、神様に信頼し「お言葉の通りになりますように」と言っておられるのです。マリア様の一生はこの連続だったと思います。それが、息子の十字架に従って歩き、ついに死を看取り、彼の残した弟子達とともに暮らし、この世の生活を終えるまで続いたのだと思います。そのことに思い至ったときに、私は初めてあの子どもの日に感じた物足りなさに納得がいきました。子供心にも、あの時の説明があまりにも子どもだましだと思っていたのだと思います。もちろん、最終的には、それはきっと正しいのでしょうが、心の何処かに、マリア様やイエズス様をそんなふうに利用するみたいなことはイヤだと思っていたのだと思います。もっと深くその悩みに思いを至さなければ、という思いがあったのだと思います。不思議なことです。

子育ての実り

黒岩 英臣

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つい数日前、息子がひと月ぶりに日本に帰ってきました。

今回はベルリンでピアノコンチェルトを演奏し、パリ近郊でも音楽会に出演した上、新妻と連れ立っての、新婚旅行も兼ねた演奏旅行となりました。

私達夫婦は息子がこうして自立してゆくのを見ることができて、正直、ホッと安堵しています。新妻の両親は仏教の家系ですが、私達の息子をそれはそれは愛してくれているので、その点でも、私達は実に恵まれています。

とにかく、やっと巣立ってくれた!!これが偽らざる実感です。

ピアニストとしても勿論、これからキリスト者としても育ってくれれば、私達にはこの上ない喜びです。

思い返せば5才の時、近所の女の子がピアノを始めたのが、もううらやましくてたまらず、毎日その子のあとを追いかけまわして、その子の弾く通りにピアノを弾いていたのが始まりでした。

それが、音楽高校の時期には一人前以上にグレて、演奏面では学校を代表する生徒でありながら、学校と事を構え、他校とのコンサート出演をキャンセルする程の、反抗ぶりだったのです。

その理由が、長く伸ばした髪の毛を派手なオレンジ色に染め、それを真っすぐ上に向けて、まるで煙突のように立てているのを、やめろ、やめないとの争いだったのです。

これが、そのあとイタリアへ留学し、その後ベルリンへ移り、丁度、日本で18年、ヨーロッパで18年という、2つの故郷を持つピアニストに育ったという訳でした。しかも、留学先で知り合った女性と19年の歳月を経てつい先ごろ、やっと結婚に至ったのですから、2人の間も勿論、神様の導きは何とも計り知れないものです。

それと共に、あのとんでもないオレンジ頭も、今は昔となっておりますが・・。


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