「学校にくるとね、校庭の裏の樫の木に登って授業がはじまるのに気が付かなかったり、タヌキを追いかけて山に入り込んでいたり。ほんとにタヌキが出たんですよ。やっと見つけて、『コラ、学校にもどれ』といったら、『ボクいそがしくて学校に行くひまないの』って。はー、たいしたもんです」。
うちの子との相性は抜群の先生でした。もういまどきあんな先生はおられないでしょうね。
子どもは、私が育てたというより、勝手に、いつのまにか育っていたのでした。
神様からいただいたいのちを、こうなってほしい、こうしたい、というのではなく、タンポポや菜の花が勝手にのびて花咲かせるように、ずんずん伸びて成長していくのを邪魔しないよう。そう、「邪魔しないように」とだけは心がけました。
好き嫌いがぜんぜんない。食べ物にもひとにも。
怒る、ということがなく、急ぐ、ということもありません。やいのやいの急かしてもムダ、どだい急ごうという気がないのですから。
これでよかったのか・・・・わかりません。
今のような忙しい世の中で、ゆっくり生きることしかできない「変わりダネ」が育ってしまったのかもしれません。
でも人生、終りまでみないとわかりませんね。よかったかわるかったかなんて。