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子育ての実り

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

どこかで聞いたお話ですが、お子たちは、3歳までに親孝行をしているそうです。一番育児に手がかかる時期ではありますが、赤ちゃんの屈託のない笑顔にご両親やご家族は癒されるのだそうです。このような赤ちゃんの笑顔も、子育ての実りの一つだと考えることができるでしょう。

幼子イエス様も、屈託のない笑顔を周囲にふりまき、ご両親であるマリア様やヨゼフ様をはじめ、多くの人々の心を癒したことでしょう。

しかしながら聖書によると、大人になったイエス様の行動は、マリア様や親せきの人たちには理解し難いものだったようです。「御覧なさい。母上と兄弟姉妹がたが外であなたを捜しておられます」と知らされると、イエス様は周りに座っている人々を見回して言われます。「見なさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ。」(マルコ:3・32~35)

そして、イエス様は、神さまの御心を伝えたために、当時の宗教家たちのねたみによって、十字架にかけられてしまいます。マリア様にとって、十字架も子育ての実りとなってしまいます。この十字架には、イエス様が死に至るまで神さまの御心に従順であったこと、自らのすべてを捧げ尽くしたことが示されています。

さらに、イエス様の生涯は、十字架では終わりませんでした。復活という出来事を通して、死から命へと過ぎ越していかれたのです。

マリア様の子育ての実りは、究極的に、十字架を越えてもたらされた復活の栄光であり、自らの体も魂も神さまの救いにあずかることでした。これは、子どものために与え尽くした生涯が、神さまにすべて受け入れられて「良し」とされることを意味しているのだと私は思います。