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子育ての実り

阿南 孝也

今日の心の糧イメージ

30年前のことです。当時3歳の息子がこう言ってくれました。「ぼく、父さんの学校の先生になる。父さんと並んで車運転して学校行く」。なんてかわいいことを言ってくれる子なのだろうと、満面笑みで抱きしめていました。ところが、ある日のことでした。「ぼく、学校の先生なるのやめた」と言い出したのです。「どうして?」と尋ねると「かいぎがあるから」と言うのです。そういえば重要な案件があって長い会議が続いたことがありました。「今日も会議で疲れたよ」と、ビールを飲みながら妻に愚痴っていたのを思い出しました。かいぎって、きっと楽しくないことなのだろうと、幼いながらに感じ取ったようです。悪いことをしてしまったと反省しきりの父親でした。

シスター渡辺和子先生は「子どもは、親や教師の言う通りにはなりませんが、親や教師のする通りになります。なってほしい子どもの姿を、親も教師も、自ら示す努力をしなければなりません」と言われました。

私は2人の子どもに恵まれました。神から委ねられた子どもたちが、肯定され愛されていることを糧として、他者に対して愛を持って接することのできる人として成長してほしい、そう願ってきました。

そのためには、親である私が、率先して、自らの人生を肯定する生き方を示すことが重要なのです。どのような辛いことがあったとしても、家庭生活や仕事の中に、生きがいと喜びを見出し、感謝の心を忘れずに日々の務めを果たすことが、何よりも大切なことだと気づかされました。

子育てで注意すべきことは数多くあることでしょう。でも、子どもたちの良きお手本となるよう努力すること、これが子育ての極意なのだと確信しています。