2017年08月08日の心の糧


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子育ての実り

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ 私が初めて赴任した教会には、付属の幼稚園がありました。主任司祭の勧めで、春の苺狩りに、私は子供達と親御さんと一緒にバスに乗って出かけたのです。

畑に着くと、子供達は一斉に籠を受け取り、畑に一目散に走り出しました。しばらく経った時、ある女の子が、青い苺や小さい苺まで籠に摘み取っているのを見つけ、「小さいのはもう少し待ってあげたら良いね」と言おうとしたそのときです。隣を見ると、その子供と同じように、青い苺や小さい苺を摘み取っているお母さんを見つけました。親の仕草や雰囲気が、着実に子供に伝わっていくのだなあと心に焼き付けた瞬間です。

この苺の話と一緒に、覚えている話があります。

日本に難民で移住してきたあるベトナム人の父と子の話です。

その家庭に私が夕食に呼ばれた時のことでした。小学校6年生の男の子の両親が私に「この前、大変なことがありました。私たちの子供が中学受験をしたのです。子供は大変自信を持って受験したのですが、落ちてしまったのです。その夜、子供は自分の部屋から出てきません。つらくてずっと泣いているようなのです。」それで、夫婦で話し合い、お父さんが子供の部屋に入り、「久しぶりに一緒に寝よか。お前の悲しみを聞いてあげるよ」と子供が疲れて寝てしまうまで、子供と会話を交わしたのだそうです。

そしてその次の日に、男の子は「お父さん昨日はありがとう!こんどは頑張るよ」とさわやかな声で話したのだそうです。

きっとこの体験は、この子の宝物になるに違いない、そのときの体験をきっと自分の子供にも伝えるに違いない、そう私は思ったのでした。