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愛でる

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

「愛でる」というテーマを見たとたん、私をこよなく愛してくれた祖父を思い出しました。祖父は明治1桁生まれで田舎の町長も勤め、誠実で頑固な人でしたが、私を目に入れても痛くないという風に可愛がってくれたのです。

それは生まれて1年も経たない内に父を亡くし、母も東京の実家に帰ったので、残された孫娘を哀れんでのことでしょう。

家長である祖父の絶対的な庇護の元で私は何不自由なく我が儘に育ち、祖父には心配ばかりかけました。小学生の時、大雨の翌日、厳しく止められたのにこっそり川に泳ぎに行って流され、危機一髪で助けられた夜、祖父は私の体に怪我がないかを調べただけで、一言も叱りませんでした。そんな祖父に子ども心にもすまない気持ちになったのが忘れられません。

高校時代も登校拒否で閉じこもり、死にたいと言い出したり、結婚のことでも心配をかけました。しかしいつも私のためを思って諭し、慰めの手紙をくれました。

兄が結婚して家業を継ぎ、私も結婚した2ヶ月後、祖父は84歳で天に召され、私は心の拠り所を失った寂しさを味わいました。

ところが、キリストの教えに触れ、命の源である神の存在に目覚め、夫と共に洗礼を受けて神の子となったことから、私は新しい確かな心の拠り所を得たのです。

それは祖父の私への愛を超えた、より深い、普遍的な神の慈しみに満たされる喜びの体験です。神は、私たち一人ひとりをありのまま、かけがえのない存在として無条件に愛して下さっているのです。

私はこのすばらしい恵みを100パーセント素直に受けて、満ち足りた気持ちで日々感謝して暮らしたい。

そして私で出来る事で何かお役に立ちたいと願っています。