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私たちのお母さん

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

朝の祈りの時に、私に出来る小さなことをあなたに感謝としてさしあげます、と聖母マリアに祈る。「わたしの目が開き、周囲で助けを求める人が見えますように。自分のできる小さなことを実行できますように」と。

マザー・テレサも「インドに来なくてもいいのです。あなたの周囲にいる人に笑顔を向け、優しい言葉をかけてください。近くで困っている人に親切にしてください」とよく言っていた。日常は同じことの地味なくり返しだから、誰でも特別で立派なことをしてみたいと想像する。だが、私たちに神様が求めていることは英雄的なことではなく、両親に優しい手紙を書いたり、夫に昨日よりもおいしいお弁当の一品を考えたりすることの方だろう。仕事や家事に追われ、疲れているのが当たり前の生活の中で、それは簡単ではない。頼まれているわけでもないのでサボることもできる。かなり強い気持ちと祈りがないとできないものだ。

さて、実際にごく小さなことを実行したとする。その結果、感謝されることはほとんどない。小さいので気づかれないことも多い。「感謝されなくてあたりまえ」。私はなるべくそう思うようにしている。だが、ごくたまに驚くような嬉しい言葉を受けることがある。

「今日、ここに来てよかった! あなたにお会いできたから」。先日、初めてお会いしたご婦人が私にそう言ってくれた。ごく自然にふるまったことが何か彼女を喜ばせたらしい。大きな励ましになった。

こまごまとしたことはいつも聖母にお願いしているので、この日のことはマリアお母さんのおかげだと思う。まるで特別なスイーツをママからいただいたような感じがした。