パソコンの登場は社会や家族関係を大きく変えました。インターネットが普及し、情報の収集や発信が自由にできる便利な世の中になりましたが、家族や友人が顔を合わせて交流する機会が減ったことも事実です。
人類と祖先を同じくすると考えられている、ゴリラの野外研究で有名な京都大学総長の山極寿一先生は、こう警告しておられます。
「私たちはインターネットを使い、情報交換をしているような気になっていますが、最も重要な情報は対面した相手の目を通して得られるはずです。人間は相手の言っていることだけでなく、その態度、顔、表情や目の動きから相手の性格をつかみ、評価します」
ゴリラにとって、視線を合わせることは大切なコミュニケーションの方法です。食事をするときも、互いの顔が確認できる距離で集まるそうで、人間が家族で食卓を囲む姿とよく似ているのです。
人類700万年の歴史の中で、言葉を獲得するはるか以前から行ってきたと推察できる、家族が顔を突き合わせ、互いの表情から気持ちを汲み取るスキンシップの大切さを、ぜひ次世代に引き継いでいきたい、そう願っています。