実生活のなかで神を感じ、信仰を表現していく右近の生き方、今のわたしたちにとって大きな励ましであり、慰めでもあるなとわたしは感じます。
「らしさ」というのは、その人の個性であり、その人たらしめる特性ともいえるものではないでしょうか。「女性らしさ」を感じるとか、「男性らしさ」を感じるとは、一人ひとりによって、その中身に違いがあるのではないかと思います。要するに、一人ひとりは等しく魅力ある資質を備えているのです。だからこそ、その人生を振り返ったとき懐かしい思い出、体験を一人ひとりは持っているのです。その上に今の「わたし」があります。
そして、それは子ども、孫、後世の人に引き継がれていきます。「相続」は何も財産ばかりでなく、親や先輩の、人生観、信仰観だって忘れてはいけない大事なものです。中でも「信じて仰ぐ心」こそ、人間らしい、信仰者らしい自分にしてくれます。
信じることは生きるエネルギーです。
高山右近は、その力を日常生活の中に見出し、日々高め、深めていったのです。今のわたしたちにとって、日常生活は、どんな些細なことでも自己を強め、聖者に向かわせる積み重ねである、とのメッセージを新たに呼びかけられている恵みの時となりました。