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くじけない

シスター 渡辺 和子

今日の心の糧イメージ

「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい休ませてあげよう」(マタイ11・28)

このイエスのみ言葉が、何度、くじけそうになった私を、立ち上がらせてくれたか、わかりません。

管理職という立場は、決して華やかなものではなくて、むしろ淋しいものだということを、30代半ばで4年制大学の学長に任命されて以来、50年の間、数々の責任ある立場に置かれて味わいました。与えられた任務が思うようにいかない時、あらぬ中傷を受け、信じていた人たちに裏切られた時、しかも、それが自分の愚かさの結果とわかった時のやるせなさは、自己嫌悪につながってゆきます。

そんな時、イエスの「わたしのもとに来なさい」というみ言葉に救われるのです。肩にくいこんでいる重荷を外してくださるだけでなく、それを、ご自分の荷と軛に替え、背中をポンと押して、人生を新しくやり直す勇気さえも与えてくださるのです。

つまずかない人生を送ることが、人間にとって大切なのではありません。人間のこと、つまずくのはあたりまえ、ただ、その時くじけてしまわないことが大切なのです。自分の愚かさに心を奪われ、我と我が身に愛想をつかし、やけになったり、落ちこんでしまわないことが大切なのです。

ご自分も数々の失意を味わわれたに違いないイエスは、そんな私たちに向かって優しく、「くじけないでいいんだよ。古い荷物を重くしていた、うぬぼれや、自尊心を肩から外してごらん」と言い、新しい荷と軛に取り替えてくださいます。そして、柔和で謙遜になることこそが、くじけない秘訣であることを教えてくださるのです。一生ついてまわる荷物と軛を、主に倣って担ってゆきましょう。

 

シスター渡辺和子さんは、平成28年12月30日帰天されました。シスターのご冥福をお祈りしています。