この言葉を私は時折思い出して、反省の材料にすることがあります。吉兵衛さんは、この繰り返しを、繰り返しとは考えず、毎回を「始めの一歩」として、新鮮な気持ちで行い、もしかすると、これが最後になるかも知れないと、心して、ていねいに済ませていたに違いありません。こういう心を、折にふれて取り戻したいものです。
ずい分前のことになりますが、1人の神父が、初ミサをたてるに当たって言った言葉も、私に反省を促します。「自分はこれから、何万回とミサをたてることになるだろうが、その1回1回を、最初で、唯一で、最後のミサのつもりでたてたいと思う」
新しい年を迎えるにあたって、人それぞれに立てる決心があることでしょう。私は、吉兵衛さんの「仕始めで仕納め」の心掛けと、初ミサをたてた時の神父の「最初で唯一で最後」の意気込みを、この1年、大切にして生きたいと思います。
それは、ていねいに生きるということであり、その1歩1歩の積み重ねが、この1年を私の財産となる1年にしていってくれるのではないかと願っています。
シスター渡辺和子さんは、平成28年12月30日帰天されました。シスターのご冥福をお祈りしています。