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始め善ければ ・・・

土屋 至

今日の心の糧イメージ

1日の始まりの朝の目覚めはその日の気分を左右する。朝気持ちよく目覚めることができたら、その日1日をどんなにか気持ちよく快適に過ごせることであろうか。

ところが多くの場合、特に若いときは朝起きるのがつらかった。目覚ましを起きる時間に設定しても、それを止めてからまた寝てしまうことが多く、寝過ごしてしまったという惨めさを何度経験したことか。目覚まし時計がなるたびに、もっと寝ていたいという欲望と早く起きねばという思いとが心の中で戦っている。

そしてその戦いは負け続きで、最後にぎりぎりになって、かろうじて一矢を報いるという結果となる。朝の目覚めの戦いが一勝何敗という敗北感からはじまるのでは、その日が気持ちよく始められるわけがない。

ところが、あるとき思い立って発想を変えることにした。目覚ましを2度鳴るように設定し、1度目は起きる時間の20分前、そして2度目は起きる時間に設定する。つまり1度目の目覚ましは「あと20分寝てもいい」ということを意味するように考え方を変えてみた。

すると、そこに20分間の幸せな時間が出現した。さらに2度目の目覚ましの時間に気持ちよく目覚めることができるようになったのである。1日の始まりを敗北感ではなく、幸福感で始められるようになった。

1度目をならすのを、起きる時間の20分前にするか30分前にするか、いろいろと試行錯誤の結果、わたしには20分前というのが、幸福感が高く気持ちよく目覚められるという結果を得た。

「これは大発見だ」と得意になって友人に話したら、それは「年のせいではないのか」とあっさりと言われてしまった。