私は折々に、この断固たる動物の姿を思い出すことがあります。動物の行動は本能によるものですが、神さまがプログラミングしたのですから、間違いがありません。
人間は、神さまから多くの自由を与えられ、行動を選ぶ範囲も広いのですが、かえって間違いも多いとも言えるでしょう。子供が旅立つ「時」が来ているのに、親が手を離さず、子の人生をつぶしてしまうことがあるのです。そのような親をもつ人がいたら、私は言いたくなります。「親の期待をかなぐり捨て、自分の人生を歩きなさい」と。自分の道を歩んだ人はたとえ失敗しても、晩年には親への感謝が生まれます。しかし、親に合わせ、選びたかった人生を歩めなければ、わだかまりをぬぐいきれないでしょう。失ったものの大きさを思い、事実を受け入れるために一生涯、格闘することになるかもしれません。
過ぎ去った時を取り戻すことはできないのですから。