しかし、一般企業で過ごした日々は、私の貴重な人生経験として度々思い出されます。自分の都合を後回しにし、長時間におよぶ残業や休日出勤、転勤、単身赴任等を余儀なくさせられ、大きな組織の中で厳しい状況下で働くということがどういうことかを目の当たりにしました。そんな中でも自分の立身出世を求めるだけではなく、却って他者を気遣う言葉かけや礼儀を怠らず、部下の衣食住に関することまで気を配る人にも出会いました。並々ならぬ苦労の中で、己の行動を律すること、若い人々を育てるということの大切さも学びました。
退職するにあたっては、思いがけず、深い理解を示してくださった上司の「幸せに」という言葉は、私の折々の「旅立ち」の際に思い出される言葉の一つとなっています。