年を重ねるにつれて、引っ越しの段取りや準備が少々大変になり、できれば、のんびりと引越ししないで過ごしたいな、というのが昨今の本音です。
格好の良い言い方をすると、神父の人生とは、あちらの教会からこちらの教会へと、生涯、あちこちさまよう旅人のようです。
ところで、ある宣教師の神父さまの話ですが、年を重ねて高齢神父の施設に入所が決まった時、この神父さまは司教様に、こう願ったそうです。「私は神父を引退するわけではありません。どうか施設に入所するにあたり、任命書をください」と。
そこで、司教様はこの宣教師の神父さまに任命書を出して、高齢神父の施設に派遣されたそうです。そして、この神父さまはこの施設から天国へと旅立っていかれました。
私たちは、たとえ手や足が不自由になったとしても、また、記憶がおぼつかなくなったとしても、生涯、人間として現役であり、最後には、神さまの御もとへと、神さまから任命書をいただいて、旅立っていくのでしょう。
その時私は、まだ本の整理ができていません、と尻込みするかもしれません。でも、神さまの御もとへの旅立ちは、いつくしみと愛にあふれる神さまの懐へといだかれていくことなのです。