クリスマスの時期であれば、幼子イエスを待ち望む喜びで満たされるものだが、クリスマスではない時期には、いつもと違った視点で見ることになる。王様の1人の顔はオリーブの木に入っている茶色の筋のせいで、とめどない涙を流しているようだ。神への揺るぎない信頼をもって母子を守ろうとする養父ヨセフ、目の下に深いクマがある厳しい表情のマリア、幼子イエスは飼い葉桶に十字架のように両手を広げている。
日曜日に教会にいくと、聖書の福音朗読箇所は、主イエスはすっかり大人になっていて、窮乏のなかに産まれた幼な子が無事に成長しているのを知り、神への信頼をもって従ってきたからだと思わずにはいられない。
幼子イエスの誕生から3日後には、ヘロデ大王が救い主が産まれたことで不安に駆られ、ベツレヘムで二歳以下の男の子が虐殺される。ヨセフは夜、夢でエジプトに逃げるように天使から告げられ、すぐにマリアと幼な子イエスを連れて逃げていく。きっと彼らは王様たちからもらった贈り物を切り売りしながらエジプトへと逃げて生き延びたのだろう。
クリスマスに飾る馬小屋セットの中に、将来への不安から完全に自由になる覚悟を学んだのだ。