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クリスマスに学ぶ

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

人間が幸せになるために何が必要かと問われたら、わたしは迷わず「家族の愛」と答える。有り余るほどの財産やきらびやかな地位を手に入れ、たくさんの人から尊敬されたとしても、家族から愛されない人は決して幸せになることができないからだ。身近にいて自分のことを隅々までよく知り、その上で、弱くて欠点だらけの自分をありのままに受け入れてくれる家族。その無条件の愛を実感したときにだけ、わたしたちは心の底からの幸せを味わうことができる。

イエス・キリストは貧しさの中で誕生した。生まれたばかりの幼子イエスは、家畜のよだれで汚れた小さな飼い葉桶に寝かされ、それをヨセフとマリアが見守っている。物質的な豊かさとはまったく無縁の誕生だが、そこには確かな幸せがある。

ヨセフは妻であるマリアを心の底から信頼し、マリアの身に起こったことをすべて受け入れている。マリアも夫ヨセフを心の底から信頼し、ヨセフに自分と子どものすべてを委ねている。そして2人の心には、神から授かった幼子イエスを、自分たちの命に代えても守り抜く覚悟がある。何も持っていなかったとしても、誰からも祝福されなかったとしても、この家族の心が幸せで満たされていたことは間違いがない。

家族は、必ずしも血のつながりを必要としない。イエスとヨセフの間に血のつながりがなかったことからも、それは明らかだ。血のつながりがなかったとしても、ありのままの弱くて欠点だらけの自分を、ありのままに受け入れてくれる人がいるなら、その人こそわたしたちの家族だ。わたしたちの幸せは、そんな家族を持てるかどうかにかかっている。

すべての人が自分の家族を見つけ出し、幸せなクリスマスを迎えることができるよう心から祈らずにいられない。