あなたの片足は、わたしのもの。
その心よね、とこんな話をMさんにしていたら、彼女がある日、立ち寄ったレストランでの、映画のワンシーンのような光景を話してくれました。
それは街角の目立たない小さなレストランでのこと。
2、3組しかないテーブルは満席でカウンターしか空いていませんでした。
その席は、中の厨房がまるみえ。そこで注文の料理をつぎつぎに仕上げてゆく初老のシェフと助っ人の若ものの動きをぼおっと眺めていたMさんは、お!と目が離せなくなりました。
ふつふつ湯気の立つ鍋から、オムレツのフライパン、そしてオーブンへと動き回るシェフを、さりげなく、けれどすばやく料理の道具や調味料を出したり引いたりと、支える若もの。その間、完全に無言です。できあがった料理を順番に皿に盛りつけ、トレイにのせて客席に運びます。
「このふたりの身のこなしが実にリズミカルで、息のあったダンスを見ているようだったの」足こそ縛っていないけれど、見事な2人3脚だったと、Mさんは手放しのほめようです。
この話を聞いていると、その小さなレストランでお昼を食べたくなってきます。
そんなふうに、見る人をうっとりさせるほど、仕事の相方との「2人3脚ぶり」を発揮できたら最高ですね!