▲をクリックすると音声で聞こえます。

2人3脚

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

用意、ドーン。いっちにっ、いっちにっ・・・。手拭いや鉢巻きで自分の片方の足を、相手の片方の足に結んで、両肩を組んで、最初はおそるおそる相手に合わせ、足を合わせながら進んでゆく。だんだん息が合ってきて、スピードを上げて、そしてゴール目指して一直線。運動会でのこんな懐かしい光景を思い出した方もおられるでしょうね。

でも自分のことだけ考えたり、余分なことに気を取られると、足がもつれ、転んでやり直し。再びいっちにっ、いっちにっ・・・。でも相手と息が合うと一心同体に。相手の息づかい、温もりを感じながら進んでゆく「時」。終わるのが惜しまれる「時」へと変わってゆきます。

ともに生きる、ともに時を過ごす。これも2人3脚ですが、見知らぬ人との一瞬の出会いの中にも2人3脚があるのではないでしょうか。

例えば「お先にどうぞ・・」。家でも外でも、歩いていても自転車でも車でも、譲って下さった時、相手の心を感じて感謝の心を表わす。こちらが相手に譲った時、向こうが感謝して下さる。ほんの一瞬ですが、心が通い合う嬉しい時ですね。傍目にはすれ違いかも知れないけれど、その時、その場、その状況を2人3脚で歩んでいる。そんな思いがしませんか?

大切な人とゆっくり過ごす時も、見知らぬ人との一瞬の出会いの時も、2人3脚で歩む・・・。その様に相手のことを思いやりながら、ともに歩もうとするとき、全ての人を、全ての時を大切にする人へと変えられてゆく様に思います。もちろん少しずつかも知れないけれど。

あなたにとっての2人3脚とはどんな2人3脚でしょうか。1人1人異なると思いますが、その光景を思い浮かべながら、思い描きながら、今日も「いっちにっ、いっちにっ・・・。」と歩んでゆきましょう。