「置かれた場所で咲きなさい」という言葉そのままに、寒さの来る前に懸命に花を咲かせたのです。凜として気高く、余りに美しいので写真を取ろうとしたら、あいにく雨となり、暗くなりましたが、傘を差して撮りました。娘にメールで送ったら、「夜の美しさは怪しいほどですね!」と、感嘆の言葉が返ってきました。
遅れてゆっくり咲いた野百合の花たちは、ゆっくりと時間をかけて咲いたぶん、花のいのちが長いようでした。朝、雨戸を繰ると、生き生きと花のいのちを輝かせている3つの白い百合がぱっと目に入り、私の胸に新しいいのちを吹き込まれるようでした。思わず、「おはよう!今日もきれいね!」と挨拶している私でした。
そんな日が1週間余り続きましたが、やがて野百合の花は色あせてうなだれ、ついに枯れ落ちてしまいました。しかし、悲しいとか侘しい気持ちは感じませんでした。花の芯には来年咲く種が育っていて、新しいいのちを繋いでいることを想うと、希望が湧いてくるようでした。
何だか野百合と私は、日々新しいいのちをいただいて生かされている友達のような愉しい気分を味わいましたので、この春、また野百合の新しいいのちが庭のあちこちに芽生えてくるのが楽しみです。