祝いの席で、静かな和室に腰を下ろし、互いの盃を重ねながら、私は胸に沁み入る先生の言葉を聴きました。
「イエスは十字架にかけられる前夜、最後の晩餐で弟子達に〈互いに愛しあいなさい〉というメッセージを伝えました。その〈互いに〉という感覚で心から生きる時、日々の家庭の中で、あるいは学校や職場において、人と人との間には復活したイエスの霊である〈聖霊の風〉は吹くのです。イエスが〈私の死後、あなた方に聖霊を送る〉と約束したその霊は、ギリシア語でプネウマと言い、一人ひとりの魂に吹き込まれている、神様の息吹という意味でもあります」。
先生が長年思索された聖霊の核心を講演で私が語ると、聴衆の皆様は深く頷いていました。
その昔、松尾芭蕉が『おくのほそ道』で〈漂泊の風に吹かれて〉と書きましたが、その風は私達の日々の場面でも囁いています。その密かな促しに応じて生きる時、人は〈目には見えない復活のイエス〉と共に、信仰の歓びを生きることになるのでしょう。