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新しいいのち

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

私たちがまだ幼かった頃。例えば、初めて補助輪を外して自転車に乗ってみた時。転んでけがをするかもしれない、ということなどあまり考えもしないで、がむしゃらに何にでも挑戦していた頃。

あの時は、転んでも、転んでも、一生懸命何かに打ち込むことができた頃でした。ひざをすりむいたり、体のどこかにあざができたりしても、新しく成し遂げたことに大きな喜びを感じていた頃でした。

歳を重ねるにつれ、新しい挑戦は減っていきました。けがをしたり、傷ついたりすることを恐れて、引っ込み思案になることが多くなりました。それと同時に、何かを成し遂げる喜びも少なくなっていったように思います。

決まりきった事柄に囲まれた日常生活の中で、特に目新しいことも少なくなり、新しい発見や喜びが減っていき、いのちがしぼんでいくような思いさえ抱きながら過ごしているように感じることさえあります。

そんな時、春の訪れは、改めて新しい息吹を私たちに感じさせてくれます。新緑にあふれた山々は笑い、爽やかなそよ風は吹き抜け、海はきらきらと輝きます。新しいいのちの喜びを感じさせてくれる季節です。

新しいいのちの息吹を感じさせてくれるこの季節、教会は、キリストがもたらしてくれた新しいいのちを祝います。いわゆる復活祭です。

どんなに落ち込んでいても、いのちがしぼむような感じを受けていても、この時、一人ひとりのいのちが新たにされ、喜びと躍動感に満ちたいのちが自分の内に確かに存在する、と気づかされる祝いのひとときです。

私たちは、この時、改めて新しい一歩を踏み出します。新しいいのちの中で、再び生き生きと生き始めるのです。新しい発見や新たな挑戦を再びこの身に受けて、歩み始めるのです。