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新しいいのち

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

霜で覆われた地面があたたかな春の陽ざしの中でゆるみ始める頃、つくしん坊たちが、小川の土手や田んぼの畔からにょきにょきと伸びあがってくる。黒々とした地面からかわいらしい顔を出したその姿は、まるで小さな子どもたちのようだ。春の大地から生まれる、大地の子どもたちと言っていいだろう。つくしん坊たちは、豊かな栄養をたくわえた母なる大地にしっかりと根をおろし、あたたかな春の陽ざしを浴びながらすくすくと育ってゆく。

つくしん坊たちの姿は、そのままわたしが受け持っている幼稚園の子どもたちの姿と重なって見える。人間の子どもたちも、あたたかな家族の愛の中で目を覚まし、家族の愛の大地にしっかりと根をおろして育ってゆく。つくしん坊のような無邪気な笑顔を浮かべ、大きな希望に胸をふくらませながら成長してゆくのだ。

もし太陽が輝くのを止め、地面がぼろぼろと崩れてしまえば、つくしん坊は育つことができない。人間の子どもたちも、もし家族が愛のぬくもりを失い、揺らぎ始めれば、まっすぐ育つことが出来なくなるだろう。わたしたち大人には、子どもたちをはぐくむあたたかな陽ざしとなり、子どもたちが安心して根を下ろす大地となる使命が与えられているのだ。

もし心が不安や恐れにかき乱されていたり、誰かへの憎しみや怒りで満たされていたりすれば、子どもたちにあたたかな笑顔でほほ笑みかけることができなくなるだろう。もし父母の関係がぎくしゃくしたり、家族のあいだに争いが生まれたりすれば、子どもたちは安心して育つことが出来なくなるだろう。家族の愛を信じて疑わない子どもたちのために、いつも心をあたたかなぬくもりで満たし、家族の絆を揺るぎないものにしてゆきたい。