このお話を伺った時、私はほのぼのと心が暖かくなり、陽の光まで明るさを増したように感じた。
人間は、好意を持っている人の仕草を無意識に真似てしまうことがある、それは相手との距離を縮めたいという気持の表れであるらしい。仲の良い夫婦がいつも一緒にいて、似たもの同士になっていくのもこのためだそうだ。
成長していく赤ちゃんは、Nさんにとって、きらきらと輝く新しいいのちだったのである。新しいいのちに、敬意と愛情を込めて、謙虚に近づいて行く自分を、赤ちゃんの無垢に倣って澄んでいく自分を発見し、お孫さんに「似ていく」と感じたのではないだろうか。それはまさに、いつも善きもの、美しいものを求め、学ぼうと近づいて行くNさんらしいことだったように思われる。
生まれて来た新しいいのちは、無垢であるゆえに、まっさらな鏡として周囲の大人たちを映し出す。お孫さんの鏡には、Nさんをはじめ、愛情深い大人たちが、きっと大勢映っていることだろう。
世界中の新しいいのちたちが皆、どうか愛されて幸福でありますように。お互いがよく似た良き心を持ち、全ての家族が仲良く、幸福でありますように。