あまりの腹痛で眠ることもできない夜、母は祈り続けました。
「息子の痛みや苦しみを私にください。私が全部引き受けますから」この母の祈りが通じたのでしょう。夫の病気は徐々に回復に向かいました。
秋になったある朝、夫は目覚めて叫びました。
「母さん。お腹の痛みが止まったよ。嬉しいよ。」 母は、涙を流しながら喜んでくれたそうです。
2週間後、それまで流動食しか食べられなかった夫は、母が炊いてくれたご飯を食べることができました。
「なんておいしいんだろう。嬉しいなあ。もう、いつ死んでもいい」「そんな、バカなことを言って」母は、夫が病気になって以来初めて笑いました。
クリスマスイブに母は小さなクリスマスケーキを作ってくれました。夫は、一口食べて言いました。
「おいしい!これまで食べたケーキの中で最高だ!」
クリスマスを境に夫は、徐々に体力を回復して翌春大学へ復学することができました。
クリスマスの心とは何か、それは愛だと思います。愛とは相手を思いやり、その痛みや苦しみだけでなく、喜びも分かち合うことです。生涯最高のクリスマスケーキだと褒められたとき、母の喜びようはありませんでした。