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クリスマスとは

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

毎年、誕生日になるとお祝いのカードを送って下さる方がいる。「誕生日おめでとう。生まれてきてくれたことに感謝」と書いて下さる方もいるが、わたしとしては、自分の努力で生まれてきた訳ではないので、感謝されてもちょっと照れくさい感じがする。

「あなたを産んでくれたお母さんに感謝」と書いて下さる方もいる。これには心から納得だ。母が苦労して産んでくれたからこそ、わたしはいまこの世に生きている。母だけではない。大切に育ててくれた父に、また命を与えて下さった神様にも感謝すべきだろう。これまで私を見守り、支えてくれた仲間たちにも感謝せずにいられない。わたしの命に関わってくれたすべての人に感謝する日、それがわたしにとっての誕生日だ。

クリスマスになると、世界中の人たちがイエス・キリストの誕生を祝う。それこそ、「生まれてきてくださったことに感謝」ということだ。だが、イエス本人は、その言葉を聞いてどう思っているだろうか。もしかしたらイエスも、「感謝するなら、お母さんやお父さん、そして天の神様に感謝してください」と思っておられるのではないだろうかと私は想像してしまう。もちろん、イエスが神でありながらこの地上に来て下さったことには、どれだけ感謝してもしすぎることがない。だが、その感謝は同時に、母であるマリア、父であるヨセフ、そして命の与え主である天の神様に向けられるべきものだろう。イエスの周りにいて、イエスの命を支えたすべての人への感謝も忘れてはならない。

誕生日の主役は、本人であると同時に、父母であり、神様であり、数えきれないくらいたくさんの、命を支えてくれた人たちだ。表に出てこないクリスマスの主役たちを、忘れることがないようにしたい。