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クリスマスとは

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

クリスマス商戦やクリスマスパーティーで盛り上がりをみせる雰囲気の中で、クリスマスには、これとは全く違う側面もある、と私は思います。例えば、プレゼント交換をわくわくした心で待っていると同時に、誰かのために一生懸命プレゼントを選んでいる自分に気付かされたりします。プレゼントをもらうことに意識を向けていた自分が、いつのまにか、無意識にプレゼントをあげる存在に変えられてしまうのです。

クリスマス・メッセージの中にも、同じような一面を見出すことができると思います。単に、神さまが人間となった、赤ちゃんとして生まれた、というだけでなく、全てのものを造り、全知全能である神さまご自身が、一番小さく、弱い姿で、この世に人間として、お生まれになった、というところに、逆説的な側面を私は見いだすのです。

もしかすると、クリスマスとは、私たちの常識や思い込みを越えて、本当の姿、物事の本質に目を向けるひと時なのかもしれません。そこでは、見えなかったものが見えるようになり、気付かなかったことに気付かされていくのでしょう。それは一言で言うと、神さまのものの見方、神さまのもののとらえ方に、私たちが心を開くひと時なのかもしれません。

それだからこそ、クリスマスには、一人ひとりが家族の絆を改めて見つめなおし、人と人との関わりを思い起こし、一人ひとりが本来持っている素直な心を呼び起こすことができるのだと思います。

一人ひとりが気づかぬうちに、逆説的な神さまの視点へと変えられてしまうクリスマスの不思議なひととき。毎日が忙しく、周りを見渡すことが難しい今の日本だからこそ、今年のクリスマスを、少し違った角度から眺めてみてはいかがでしょうか。

きっと幼子の微笑みに気づくはずです。