そこへ村はずれの貧しい農家に赤ちゃんが生まれたので祝福してほしいとの知らせが来ます。モール神父が急いで行くと、赤ちゃんが生まれたことで家中は喜びでいっぱい。神父も喜びで満たされます。
その帰り道、モール神父は初めてのクリスマス、イエスの誕生の馬小屋を思い巡らしていました。
あの貧しい馬小屋にも十分な物は何もなかった。でも、生まれた幼子を祝福する星が輝き、マリア様もヨセフ様も羊飼いたちも、みんな喜びあっていたじゃないか。よし、オルガンがなくても歌える新しい歌をつくろう。
そう思うと、天から降ってくるように詞ができました。友人の小学校教師フランツ・グルーバーに頼み、その詞にギター伴奏の曲をつけてもらいました。その歌は、その夜のミサで歌われ、村人たちに深い感動と喜びを与えます。そして、いつしか世界中で親しまれるクリスマスキャロルとなったのです。
クリスマスは、神が私たちに愛を表された日、そして私たちも愛を表す日です。
たとえ物が不足していても、愛のともなった真心があれば、私たちもまわりの人、そして神をお喜ばせできるに違いありません。