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ストレス解消法

小林 陽子

今日の心の糧イメージ

ある夏の黙想会の昼さがり。

泊り込みの黙想会とは、お祈りの合宿といっていいでしょうね。

「黙想会の家」のスタッフが作ってくださったおいしいお昼ごはんをいただいて、ひと休みすると午後の講話が始まります。

窓ガラス越しにそよぐ木立の緑・・2日目になると最初の緊張もとけてゆったりくつろいでいます。

神父様のお声がだんだん遠くなり、ノートの字もぼやけてこっくりこっくり・・ハッとして姿勢を正し耳を澄ませます。ごめんなさい、神父様。

ところがわたしだけではなかったのでしょう。年代は中高年がほとんど。

大柄なイタリア人老司祭は穏やかな笑顔で、「黙想会はね、息ヌキの場でもあるのですよ。日頃、皆さんは家庭で職場で、くるくると一日中働いておられるでしょう。わたしの話が子守唄になってもいいんです。神さまの子守唄ですよ。日常生活を離れて、神さまのふところに抱かれて休むことも、霊魂にとって大切なのです」と、語りかけてくださいました。

なんと嬉しいお言葉。

そう、主婦にとってはたった2泊3日の留守でも、残る家族のために食材を買い置きし、掃除、洗濯をすませ、あれやこれやと駆けまわり、いざ黙想の家に辿り着いた時にはもう、くたくたになっています。着くなり個室のベッドに倒れ込んだりしたこともあるほど。

でも、この3日間、沈黙のうちに神さまとだけ向きあい、ミサや朝晩の祈りに与り、ひたすら静かに静かに過ごす・・・この静寂がたとえようもなく好きです。ときには修道院の庭を散歩して。

完全な沈黙を守りますが、お昼休みはたっぷりあり、夜も「寝る前の祈り」の後は消灯まで自由です。聖堂で祈るもよし、本を読んだり日記をつけたり。イエスさまと二人きり。

これぞ至福の時。

天国の先取りです。