「あなたの目的は、フランス語とフランス文学を勉強することです。ほかの友達と同じやり方で勉強する必要はありません。だから、みんなと同じであることにとらわれないように。学ぶという目的を果たすために、臨機応変に工夫していきましょう」
私は一瞬びっくりしました。盲学校時代から、「目の見える人と同じにできるようになる」ことをずっと目指してきた面があったからです。
先生は、そんな私の気持ちをすぐに見抜かれたのでしょう。勉強の仕方は一通りではないこと、その方法は自分で見つけるしかないことを、このとき私は学んだのです。
こうして、私の人生観は大きく変わり始めました。自己実現において、大切なのは「みんなと同じにできる」ことではなく、自分のやり方で目的を果たすことだと確信したからです。こうして、スライドが見えなくても絵本が読めなくても、私は言葉で勉強を重ね、フランス文学を楽しみました。そしていつも、突破口はきっと見付かる、とどこかで信じるようになったのです。