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岐路に立つ時

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

岐路に立つ時、好きな道を選べた人は幸いです。問題は「好き」な道だと確信したのに選んで歩み出した時「あ、しまった」と悩みだす人々が余りにも多い現実です。心理療法の仕事では、このような人々が大半なのです。自分で選んだだけに、そこには挫折感と劣等感と自信喪失の日々が厳しく襲いかかっているからです。何故、好きで選んだ道なのに、このような悲劇があるのでしょうか?

答えは「好き」という感情と思考に人類の大問題が潜在しているからです。アフリカで誕生したホモサピエンスの原初感情は4つある、と言われています。好きか、嫌いか、怖いか、怖くないかの4つです。

色々学説はありますが、特にこの「好き」という領域は人を迷わす領域です。生物学的な本能からくる「好き」、過去の色々の体験等の生育史から示唆される「好き」、そして人間が所持している魂からの理性的な示唆、この3種類の「好き」があるという知識が、岐路に立つ時の好きな道を冷静に観察させ、選ばせ、失敗を防いでくれます。

比較宗教学に基づいた心理療法の世界では常識なのですが、案外、この知識は日本にはまだ普及していないようです。特に魂からの示唆は非常に理性的、かつ、感覚的なインスピレーションが働いていて、現実吟味力は抜群に優秀で、まるで三位一体である全知全能の神様からの聖霊のような働きがあるようです。

では、どうしたら、この知恵が身に着くかといいますと、平素、真善美とは何か、という思索を深めることのようです。真善美という平素の思索は、厳しい人生の岐路に立つ時、この魂からのインスピレーションや聖霊を失敗なく受け入れさせる素地を作るので、その人に幸福な示唆を与えるようです。