彼の言う「ありがとう療法」は至極簡単で、お金もいりません。医者が患者に対して、「1日のうちで自分に何かしてくれた人全部に感謝するように」と勧めるだけなのです。
まず朝は、食事の支度をしてくれた奥さんに感謝することから始まります。バスや電車に乗った時も、乗務員さんや駅員さんに「ありがとう」で感謝の気持ちを表すようにします。
1日のうちで、「ありがとう」を言う機会を探すようにするのです。物を買う時はそのお店の人に。職場では上司に、同僚に、部下にも、感謝することはあります。ビルのメンテナンスをしてくださる人を見かけた時に「ありがとう」・・と、その気にさえなれば、1日のうちで「ありがとう」を言う機会はいくらでもあるのです。
医者はまた、こうも話しました。「病気の治療法としてこれを勧めると、ある患者は笑うんだが、これはまじめな話だと説明する。そして、私が言うようにやってみると、本当に良い成果があるんだよ。患者は見違えるように変わって、人生に新しい態度で臨むようになり、やがて健康状態もしだいに良くなるよ」
そして、医者は、話を次のような言葉で結びました。「感謝するということは、感謝される人を喜ばせるものだが、しかし、感謝する人自身にとっても、得るところがあるものだよ」と。