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ありがとう療法

ハヤット 神父

今日の心の糧イメージ

友人の医者が、身体が悪いだけではない患者に対する特別な治療法を考えました。彼はそれを「ありがとう療法」と呼んでいます。

「患者は、心理的に参ってるんだ。余計なことを心配しがちで、絶えず不平を言っている。身体の具合が悪いのはわかるが、問題の根本は心の状態にあるんだよ。それで『ありがとう療法』で心を安らかにするわけだが、たいていうまくゆくよ」と彼は語ってくれました。

彼の言う「ありがとう療法」は至極簡単で、お金もいりません。医者が患者に対して、「1日のうちで自分に何かしてくれた人全部に感謝するように」と勧めるだけなのです。

まず朝は、食事の支度をしてくれた奥さんに感謝することから始まります。バスや電車に乗った時も、乗務員さんや駅員さんに「ありがとう」で感謝の気持ちを表すようにします。

1日のうちで、「ありがとう」を言う機会を探すようにするのです。物を買う時はそのお店の人に。職場では上司に、同僚に、部下にも、感謝することはあります。ビルのメンテナンスをしてくださる人を見かけた時に「ありがとう」・・と、その気にさえなれば、1日のうちで「ありがとう」を言う機会はいくらでもあるのです。

医者はまた、こうも話しました。「病気の治療法としてこれを勧めると、ある患者は笑うんだが、これはまじめな話だと説明する。そして、私が言うようにやってみると、本当に良い成果があるんだよ。患者は見違えるように変わって、人生に新しい態度で臨むようになり、やがて健康状態もしだいに良くなるよ」

そして、医者は、話を次のような言葉で結びました。「感謝するということは、感謝される人を喜ばせるものだが、しかし、感謝する人自身にとっても、得るところがあるものだよ」と。