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天の国の鍵

シスター 菊地 多嘉子

今日の心の糧イメージ

天の国の鍵・・・なんという優しい言葉でしょう。この鍵をもっていれば、いつでも、どんなときにも天国に入ることができるのですから。

長じるに及んで、それは余りにも自分勝手な思いに過ぎないことがわかってきました。

天の国の鍵、それはただ、ひとつしかないのです。「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛しあいなさい。」(ヨハネ15・12)この掟を守った人だけが天の国へ入る資格が与えられるのです。

このご命令の前に、イエス様はひとつのおことばをくださいました。「父がわたしを愛したように、わたしもあなた方を愛して来た。わたしの愛に留まりなさい。」(同15・9)そして、「これらのことを話したのは私の喜びがあなた方にあり、あなた方の心が喜びに満たされるためである。・・・わたしはあなた方を友と呼ぶ。父から聞いたことを皆、あなた方に知らせたからである。」(同15・11と15)と仰せになるのです。

このおことばのひとつひとつを深く味わうとき、これほどわたしを信頼してくださるイエス様に、これ以上何をもとめることができるでしょう。

最後の最後まで神様に抵抗して死を迎えた人。・・・私はそのような人を知っています。「よいしょ、よいしょ。死ぬものか。死んでたまるか。」これが、その人の最期を悼んで枕辺に集まっていた人々に残した彼の言葉でした。このことを思い出すだけで、切ない気持ちにおそわれます。

どんなに偉い人であっても、どれほど学をつんでも、自分の死に打ち勝つことは誰も出来ないのです。

「兄弟と共に住むのは、いかにたのしいことか。」これを真に味わった人は、天国での幸せを待ち望むことができるのではないでしょうか。