人は誰でも、自力で救われ、聖人になることはできません。しかし、神が愛であることと主キリストが命を懸けてすべての人を救われたことを信じ、神の助けと恵みを祈りながら、自分らしく人事を尽くすならば、誰でも必ず救われ、聖人になることができるのではないかと信じています。その意味で、人間の救いは、神と人の共同作業といえるかもしれません。ただ神頼みのみで、自分らしい道徳的な努力を怠るならば、いくらお祈りをしても、救われることは難しいでしょう。
また、神や宗教をまったく無視して、自力だけで天国の頂上に至ろうとすることも、無理な話でしょう。
天国の鑑というのは、聖人のことではないかと私は考えますが、聖人もまたかつては、私たちと同じ弱い人間でした。この真実をよく考えて、私たちはみな、天国に救われるだけでなく、偉大な聖人になろうと志すべきではないでしょうか。
「なせばなる、なさねばならぬ、何事も、ならぬは、人のなさぬなりけり」という言葉があります。人はみな、志があれば、天の国の鑑になれると信じています。