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マリア様の役割

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

天使のお告げを受けて、救い主イエスの母となることを受諾されたマリアは、すでに身重になっていた親族エリザベトを訪問しました。天使のお告げ通り、エリザベトが懐妊しているのを確認したマリアは、2人のうちに働く神の偉大な業に感嘆し、「今から後、いつの世の人も、私を『幸い』な者と呼ぶでしょう」(ルカ1・48)と、御父なる神を賛美しました。「マグニフィカト」と言われるマリアの賛歌です。

マリアは、神の救いの計画を、「幸い」なものとして一身に引き受け、生涯をかけて、神への信頼のうちに受諾し続けました。その受諾によって、彼女の人生が神の計画の重要な一部であり、神の恩恵に満ち満ちた、真の幸いであったことを後の世に生きる私たちに示すのです。

神の子であるイエスの母となることは、人間の思いや考えで理解できることではありません。当然、いいなずけのヨゼフや家族、周りの人々からも理解されず、誤解にも苦しまなければならなかったでしょう。「何故、私に」という問いが何度も心に浮かんだに違いありません。しかし、マリアは、イエスの受難と十字架上の死まで、神の「幸い」を自分の心に思い巡らし、神に忠実に応え続けました。

マリアは、イエスをその身に宿し、産みの苦しみを味わいました。しかし、それ以上に、母としてイエスの道に同伴し、神の計画を受け入れ続け、神の「幸い」を深めていきました。「神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ」(マルコ3・35)と云われたイエスの言葉を、マリアは、まさに生きることを通して、私たち人間が人生で向き合う「真の幸いとは」という問いかけに、人類の母として、答えとなり得る道を歩まれたのです。