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無限の可能性

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

8年前に熊本の慈恵病院に「赤ちゃんポスト」が出来ました。

事情があって子供を育てられない母親が、せめて命だけは助けたいと願って預けるのです。その後、気持ちが変化して自分で育てる、と決めた場合は再び引き取ることができます。追い詰められている時は、しばらく一人になる時間が必要です。その間、赤ちゃんは安全な場所にいるので母親は落ち着いて考えることができます。焦って人目につかない場所に放置すると、新生児はすぐに死亡してしまいます。

「赤ちゃんポスト」の扉の内側は、温かなベビーベッドになっています。お母さんに時間を与えるだけでも素晴らしい安全地帯です。昨年までで救われた命は101人。養子として幸せに育つ子供もいます。しかし、熊本に行く旅費が作れずに、やむなく堕胎したという電話が入ったこともあるそうです。

現代遺伝学では、受精卵には、将来どの様な人になるかという遺伝子情報が組み込まれ、設計図が出来ているとわかりました。遺伝子情報に従って、細胞は主体的に分裂を繰り返し、ある部分は骨になり、あるものは内臓になる。米粒より小さな細胞に30億の文字を情報として書いた方がいる。それは神様でしょう。神がみつめているこの命には無限の可能性があり、生きる権利は尊重されなければなりません。赤ちゃんはどれほど多くの人に幸せを運ぶでしょう。

さて、女性が我が子を手放すか、生むか、生まないかの選択を迫られる事は大きな苦しみです。決断が一生を左右することもあります。

男性は、妻以外の女性に軽々しく近づくべきではないでしょう。その女性の将来にも無限の可能性があるのですから。