ところが、歳を重ねるにつれて、年々、そのような可能性は少なくなっていくかのように思えてきます。かつてのような体力や瞬発力、記憶力はなくなっていきます。確かに、すべてを全く白紙に戻して、何か新しいことを始めるのも困難になっていきます。そして、これらと同時に、赤ちゃんや子どもたちが持っている無限の可能性も年々、失われていくのでしょうか。
実際に実現させることは難しくなっていくかもしれません。しかしながら、可能性は、実現させることがたとえ難しくなったとしても、あり続けるのかもしれない、と私は思っています。
今から20年ほど前、私はあるスポーツクラブに通っていました。そこに一人のお婆さんも通っておられ、時々、プールでお見かけしていました。最初は、プールの水の動きに大きく右へ左へと揺さぶられながらも一生懸命歩いておられる姿を拝見していましたが、そのうちに、波をものともせずしっかりと水中を歩かれるようになり、ついには、ゆっくりではありましたが、泳ぎ始められるまでになりました。
努力は必要かもしれません。しかしながら、あきらめてしまうと、可能性は失われていきます。歳を重ねたとしても、たとえどんな状況にあったとしても、あきらめることがなければ、可能性は無限にあり続けるのだ、と私は今も思います。