先祖は交通機関として馬を使っていましたが、現代では自動車や電車、飛行機などで移動します。大昔の人は、なかなか勉強できませんでしたが、今、多くの人が何年間も学校へ行きます。
娯楽も昔は自分で考え出さなければなりませんでしたが、今ではラジオやテレビ、パソコンなど、スイッチ一つで簡単に楽しめるものがあります。
昔の人が恐れていた病気の多くも、医学の進歩のおかげで治るようになりました。私たちは、昔の人の研究と努力のおかげで、この21世紀の恩恵に浴しています。先祖の知識、発見、発明、芸術、文化などを受け継いだわけです。したがって、これらの遺産を守り、より立派なものにして次の世代に残すのが、現代に生きる私たちの義務だといえます。
このように社会は次第に進歩し、私たちは一つの世代として、その進歩の一翼を担っています。しかし、精神的な進歩は別のことで、それは各個人の努力で達成されるものなのです。私たちは一世紀前の人より豊富な知識を持っていますが、必ずしも、その人より「徳」のある人間だとはいえません。
徳というものは、知識や文化のように受け継ぐことはできませんし、次の世代へ残すこともできません。徳は、人が生まれる年代や進歩に関係なく、各個人が神の助けを得て、自分自身を向上させて得られるものなのです。