生きる喜びの一つは学ぶことではないか、と私は思っている。昨日までは出来なかったことが出来た喜び。知らなかったことを知る喜び。たとえささやかなスキル、ささやかな知識に見えても、何かを新しく身につけていけるのは嬉しい。幸福とは、そんな風に世界にひらかれていく日々のことだと思うのである。
海外旅行先で見たテレビの話だが、そば作りを学び、第二の人生を出発した女性が、はにかみながら「そば作りは私の生きがいです。老後の楽しみにしようと思っております・・」と話した後に、「そば作りによって、彼女は視野を広げたのである」と説明字幕が流れた。そこで使われた単語はホライズン、地平線という言葉だった。まさに彼女は自分の地平線を大きく広げ、新しい人生に乗り出して行ったのである。
学ぶことは、その人の可能性を広げる。その人自身をひらき、地平線を遥か彼方まで伸ばす。世界にはその広さだけ、学ぶことも多くあり、喜びもまた限りなく生まれるのである。