人はそれぞれ、他人の目には見えないことを悩んだり、苦しんだりして生きていると知るようになったからでしょうか。私の目にはこのように見えるけれど、その人自身にとっては、すこし違うのかもしれないと思うことが出来るようになって来ているのでしょうか。
そのように考えた時に、昔、あの人が紹介してくれて、とても読めなかった本が、今は読める、ということはほとんど感動的です。快感でさえあります。人生は最後まで、何かしら私たちに新しい経験を与えてくれるということではないかと思います。きっと、いつでも未知のことが目の前に横たわっているのでしょう。そして、私たちは、そのことを考えるとき、人に対していくらか寛容になっているのではないかと思います。
これは私にとっては、とても素晴らしい発見でした。人を許すということなしに、平和に生きることは出来ないと思いますが、例えば、亡くなった人が教えてくれた本をずっとたってから、本当に嬉しく読むことが出来ていると、まるでその人と会話をしているようにさえ思います。