人生は学び

崔 友本枝

私たちの人生は、出来事をどう受け止めるかによって、大きく違ってきます。

旧訳聖書には１０人の兄がいるヨセフという人が登場しますが、彼は父ヤコブに特別に愛されたため、兄たちの妬みを買って、外国の商人に売り飛ばされてしまいます。

エジプトで暮らすヨセフにはさらなる苦難が待ち受けていました。身に覚えのないことで濡れ衣を着せられて投獄されてしまうのです。しかし、どのような苦境に立たされても神を信頼して祈り、神に愛されていることを忘れなかったヨセフに、神は特別な賜物を与えていました。それは夢の意味を解き明かす賜物でした。ヨセフは、不思議な王の夢を解き明かします。その夢は七年間の豊作のあとに７年間の飢饉が来ることを示していました。彼はエジプトを飢饉から守るため、牢から出され、副王に任命されます。飢饉が始まると、隣国から兄たちが穀物を借りに来ました。数十年ぶりに再会したヨセフは、彼らがしたことを許し、エジプトに迎え入れます。ヨセフは、辛い体験を「命を救うために、神がわたしをあなたたちより先に（エジプトに）お遣わしになった」（参：創世記４５・５）と言い、神の計らいだと解釈したのです。

彼のような苦難に見舞われた人の中には、人生を投げやりに生きてしまう人もいるでしょう。しかし、ヨセフは身に降りかかるすべての試練を受け止め、才能やチャンスを生かして学び、前進したのです。

私たちも「もうダメだ」と思える時こそ、苦難の中に、助けと同時に「学び」が必ず入っていることを思い出すとよいのではないでしょうか。この宝を探して人生から多くを学び、喜びをもって生きていきたいものです。