要職に就いてからも、月給の半分は本屋の支払いに消えたと言われるほどの読書家だったそうです。父にとっての一生は「学び」の一生だったと言えるでしょう。
父の死後、母は3人の子どもたちに、父がこのような努力家であったことを語り聞かせ、父の名を辱めることのないように努力の大切さを強調しました。「一生は勉強の連続であり、何からでも習うことはあるものだ」と口ぐせのように言っておりました。
このようにしつけられた私が、たまたま教育にたずさわるようになって、50数年経ちます。父母の訓えに基づき、私は"教え子"という言葉を使いません。"私の卒業生"と言います。なぜなら、私の一生は学びの一生であり、学生に求めることは、まず、私が実践していなければ、教師として失格だからです。
失敗、挫折も学びのチャンスです。「人の振り見て、我が振り直せ」といった母の教えも、心に刻まれています。
森羅万象、すべての物事、人からも学ぶものがあるという謙虚さを持ち続けたいと思います。