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人生は学び

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

人は、なぜ学ぶのだろう。なぜ苦労して学校へ行き、勉強し、本を読み、人の話を聞いて知識や技術を身に着けようとするのだろう。偉くなりたいとか、人の役に立ちたいとか動機は人それぞれだろうが、どんな場合でも、一番奥深い所に共通の望みが隠れているように思う。すべての人に共通する学びの動機、それは「本当の自分になりたい」ということだ。

幼稚園の子どもたちは、放っておいても次々と新しいことに挑戦し、知識や技術を身につけようとする。「学びなさい」などと言われなくても、自分から進んで教具を手にとり、絵本を読んで成長していくのだ。子どもたちを動かしているのは、自分に与えられた力を発見する喜び、新しいことができるようになる喜びだろう。学びの原点が、ここにあるように思う。子どもたちは、自分に何ができるかを知り、自分に与えられた力を存分に発揮するために学ぶのだ。種が発芽して成長し、枝葉を伸ばして花を咲かせるのと同じように、子どもたちも自分の殻を破って成長し、自分のあるべき姿になっていく。

大人になっても学びは続く。「まだまだ、本当の自分はこんなものではない」、「もっともっとできることがあるはずだ」、そんな思いがある限り、わたしたちは学び続ける。学びが終わることがあるとすれば、それは「もう本当の自分になった。これ以上はない」と本人が思い込んでしまったときだろう。

だが、本当の自分の姿を知り尽くせる人などいるのだろうか。もうこれ以上はないと思っても、まだ先がある。一日ごとに、自分の知らない自分と出会う。苦しみの向こう側に、自分がまだ知らない自分が待っている。それが、人生というものだ。

まだ知らない自分との出会いを求めて、今日も学び、明日も学び続けたい。