昭和20年代のこと、敗戦の影響を受け、衣・食・住、満足ではない人たちが、人間に生まれたこと、生かされていることに対し、心から感謝して暮らしているのだった。
人生は生まれてから死ぬまで学びの場であるとはよくいわれることであるが、幼少の頃、学ぶという意識もないのに、こういう人間が生きていくことの真実を、子どもにでもわかるやさしい五島弁で教えてもらったことをありがたいなと思う。
不平不満や愚痴めいたことを聞いた覚えがないことは幸いだったと思う。
子ども心にも、人間に生まれたのはいいことだ、生きているっていうことはいいことだと全肯定できたことは、その後の私の人生に大きな影響を与えた。何があろうと、人間に生まれたことは素晴らしい、今、生きていることは素晴らしいと思いつつ暮らせたからである。
若い人向けの講演では「人生は面白い」という演題でしゃべることが多い。
まずは人間に生まれさせていただいたことに感謝することから人生は始まり、その気持ちを忘れないなら、神さまは人生の終わる日まで見守ってくださると若い人に伝えたいのである。
私がこうして原稿を書かせていただくのも人生讃歌をみんなと一緒に歌いたいからである。