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人生は学び

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

私の50歳の誕生日に同年の幼友達が遠い町から電話をくれました。「ちいちゃん、お誕生日おめでとう!」しかしその声は思いなしか曇っていました。

当時はまだ「人生50年」という時代でしたから、私たちのこれからの日々は「余生」ということになるからです。「互いに体だけは大事にしようね!」と励まし合ったことです。

あれから29年・・・・、日本人の平均寿命は急速に伸びて、「人生50年」どころか定年後の生き方が関心を集めています。

さて、まもなく傘寿を迎える私が今、しみじみ思うのは「人生に余生なんてない!」ということです。人は死ぬまで自分の人生の主役で現役、全てが学びなのだと。

アメリカで「初期アルツハイマー病患者の自主サポートの会」で実習した時のことが思い出されます。大学病院で初期アルツハイマー病と診断された方々が、自分が将来惚けてしまうことを承知で、今日を落ち込まず、前向きに生きるために「何が心の支えか?」をテーマに話し合ったのです。

「家族や友人たちとの食事と会話が私の心の支えです」と元社長さん。 「落ち込むと信仰深かった母や祖母を想うと心が安らぐ」と元高校教師。 「神と繋がっていれば何があっても大丈夫!」とロシア正教の老婦人。 「回想録を書いている。知的好奇心が大事」と元大学教授。 「掃除をすると元気になる」と元看護師長。 「家族の食事や衣類の世話をする」と元主婦。

要約すると、家族や友人との温かい絆は愛、神との繋がりは信仰、掃除は体を動かすエクササイズの効用、回想録を書く・知的好奇心は生涯学習でしょうか。

率直に「自分の心の支え」を話して学び合う、彼らの前向きな姿勢に教えられました。