▲をクリックすると音声で聞こえます。

私にとっての復活とは

新井 紀子

今日の心の糧イメージ

昨年の6月、東京に住む娘のところに女の子が誕生しました。北海道の我が家に里帰りしての出産でした。杏奈と名づけられました。杏奈ちゃんは月満ちて生まれたのですが、出生時の体重が2400グラムと小さな赤ちゃんでした。それでも、母乳をごくごくと元気そうに飲んでいます。お婿さんの両親が東京から駆け付け、私たちと喜びの祝杯を挙げました。

ところが産院を退院する日のことでした。退院検診で杏奈ちゃんを診察したお医者さんが言いました。

「心臓に雑音が聞こえます。小児科のお医者さんに診てもらってください」小児科の医師に見せると、「雑音の音が大きいですね。病院で診てもらってください。」

専門の病院で心臓のエコー検査を受けました。心室の壁に大きな穴が開いていて、心臓は通常より肥大し、肺にも負担がかかっているのだそうです。レントゲンの写真を見ながら説明されました。自然に治ることはなく、生後4か月までに手術をしないと助からないとのこと。

医師の説明を聞きながら、私と娘は目の前が真っ暗になりました。〈せっかく生まれてきたのに、杏奈ちゃんが死んじゃうの。神様、あんまりじゃありませんか〉

東京の専門病院で高度な心臓手術を受けることになりました。杏奈ちゃんはまだ生後2か月半、体重4000グラムしかありません。

いよいよ手術が始まりました。人口心肺が杏奈ちゃんに取り付けられ、杏奈ちゃんの心臓が止まりました。こんな小さな赤ちゃんに心臓の大手術が耐えられるのでしょうか。

〈神様、どうかこの子の命を救ってください〉私は、祈り続けました。

手術が終わりました。杏奈ちゃんの心臓は再び動き始めました。

神様ありがとうございます。

杏奈ちゃんの心臓は、復活したのです。