ところが産院を退院する日のことでした。退院検診で杏奈ちゃんを診察したお医者さんが言いました。
「心臓に雑音が聞こえます。小児科のお医者さんに診てもらってください」小児科の医師に見せると、「雑音の音が大きいですね。病院で診てもらってください。」
専門の病院で心臓のエコー検査を受けました。心室の壁に大きな穴が開いていて、心臓は通常より肥大し、肺にも負担がかかっているのだそうです。レントゲンの写真を見ながら説明されました。自然に治ることはなく、生後4か月までに手術をしないと助からないとのこと。
医師の説明を聞きながら、私と娘は目の前が真っ暗になりました。〈せっかく生まれてきたのに、杏奈ちゃんが死んじゃうの。神様、あんまりじゃありませんか〉
東京の専門病院で高度な心臓手術を受けることになりました。杏奈ちゃんはまだ生後2か月半、体重4000グラムしかありません。
いよいよ手術が始まりました。人口心肺が杏奈ちゃんに取り付けられ、杏奈ちゃんの心臓が止まりました。こんな小さな赤ちゃんに心臓の大手術が耐えられるのでしょうか。
〈神様、どうかこの子の命を救ってください〉私は、祈り続けました。
手術が終わりました。杏奈ちゃんの心臓は再び動き始めました。
神様ありがとうございます。
杏奈ちゃんの心臓は、復活したのです。