一方、私の方も、子供時代にめずらしい体験をしました。ありそうで、そうは無い、とても確率の低い出来事だと思います。
当時11才の私は、今でこそ有名ですが、その頃はまだ寺小屋同然だった、桐朋学園という音楽学校でバイオリンを弾いていました。
ここの生徒は、ピアノ以外の楽器を学ぶ子であれば皆、オーケストラに入って合奏を体験する事になります。
それだけではありません。音を聴いて、それを楽譜に書き取る訓練や、ソルフェージュと言って、楽譜を読んで、それを歌う訓練もありました。
そして、ここで私は某大オペラ団の先生から声をかけられたのです。翌年上演予定の、ボーイソプラノが主演のオペラに出ないか、という事でした。つまり、私はよっぽど声がきれいだったと・・エ、エ、エヘヘンヘン。そのオペラが何と、キリスト降誕、クリスマス前夜の物語だったのです。
こうして、キリスト教は私の心の隅に種をまかれ、二十才のクリスマスミサに出席した折、イエスの愛についての神父様の説教は、私の心に非常に深い印象を残しました。というのは、そこまで深い愛が現にある、とは思ってみたことも無かったからなのです。
こうして、主は私に会いに来て下さったのです。