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キリスト教との出会い

黒岩 英臣

今日の心の糧イメージ

「私は」と、妻が切り出しました。「キリスト教について、まだなんにも知らなかった小学生の時に、教会に行ってみたいっていう気持ちが段々強くなって、それで教会を訪ねてみたの」。「へー、そうだったの」、これは私。再び妻が言うには、「そうしたら、私が来たかったのはここ、間違いなくここなんだわ」と確信したのだそうです。「奇跡的とも言えますねー」とイタリア人神父様もびっくりされたそうです。

一方、私の方も、子供時代にめずらしい体験をしました。ありそうで、そうは無い、とても確率の低い出来事だと思います。

当時11才の私は、今でこそ有名ですが、その頃はまだ寺小屋同然だった、桐朋学園という音楽学校でバイオリンを弾いていました。

ここの生徒は、ピアノ以外の楽器を学ぶ子であれば皆、オーケストラに入って合奏を体験する事になります。

それだけではありません。音を聴いて、それを楽譜に書き取る訓練や、ソルフェージュと言って、楽譜を読んで、それを歌う訓練もありました。

そして、ここで私は某大オペラ団の先生から声をかけられたのです。翌年上演予定の、ボーイソプラノが主演のオペラに出ないか、という事でした。つまり、私はよっぽど声がきれいだったと・・エ、エ、エヘヘンヘン。そのオペラが何と、キリスト降誕、クリスマス前夜の物語だったのです。

こうして、キリスト教は私の心の隅に種をまかれ、二十才のクリスマスミサに出席した折、イエスの愛についての神父様の説教は、私の心に非常に深い印象を残しました。というのは、そこまで深い愛が現にある、とは思ってみたことも無かったからなのです。

こうして、主は私に会いに来て下さったのです。